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★ こちらの好意を届けるしぐさは小腰をかがめる姿勢 小腰(こごし)をかがめる、という姿勢は、ほとんど日本人だけの作法です。 これだけ世界人になってきた私たちなら、古い行儀作法とも思われるこの姿勢を、捨ててもよさそうなものですが、そうはいきません。それはなぜでしょうか? 理由は段差です。日本の家庭は古くから、履物を脱いで上がる形式になっており、沓脱ぎ石が置かれていました。 現在は、段差をほとんどなくした建物形式になっていますが、それでも和風建築はすべて、段差がつくようになっています。 このとき、一段高い位置にいる迎える側がまっすぐ立っていると、いかにもエラそうに見えてしまいます。そこで正座して向かえるか、少なくとも、小腰をかがめて低い姿勢になるのが礼儀です。 この「小」とは、接頭語ですから、腰をかがめるという意味ですが、自分より目上、年上のほうが、わざわざ訪ねてきてくれたときは、それに対する「恐縮、遠慮」の心を表わすために、いまでも必ずしなければなりません。 人間関係をよくするには、まずこちらを、小さく見せることです。自分が尊大に見えたら、相手の胸に「反感」が投射してしまいます。 「なによ、私がわざわざ来たのに、『ありがたい』という態度もないんだから」 と思われたら、人間関係は傷ついてしまいます。 そうならないために、少し腰をかがめて「本日はありがとうございました」という態度を、形で示すからこそ「好意」という投射が、相手の胸に届くのです。 こちらの好意が届けば、相手も部屋に入るとき、小腰をかがめます。こうすることで、部屋の中に入って座る前に、互いの胸を温め合うのです。 これができる女性は、実に品がよく見えるものです。 ★ 「下流社会」の住人にはマナーができていない 以前は茶道を習っていた人が多かったもので、躙り口(にじりくち)から茶室に入る作法を学びました。高さ約75センチの入り口から入るのですから、正座の姿勢で頭を下げ、腰を曲げて、にじるように進むことになります。 こうすることで、次第に姿勢が美しくなるわけですが、いまではお茶の作法を知らない人が増えています。 そこでせめて、小腰をかがめるという姿勢を訓練しましょう。 ふつう、秘書室や総務部に一回でも勤務した女性は、応接室に案内するとき、この小腰をかがめる姿勢に自然となっているものです。 奥ゆかしい女性だなど、その会社や社長に好感を抱くことになるだけに、人が訪ねてきたとき、迎えるときは、ぜひこうしたいものです。 念のためにいえば、職場に客が訪ねて来たときは、椅子に座ったままで話してはなりません。立って応対しましょう。 また入社したい会社かどうか、あなたが見学や事前訪問した際、マナーのまったくできていない会社は、できれば遠慮しましょう。 「朱に交われば赤くなる」のたとえ通り、いったんそんな会社に入ってしまったら、品は下がる一方です。 また、つき合う男性のレベルも低いので、一生を、下流で生きることになりかねません。給与の問題より、レベルを見ましょう。 |
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